施設紹介
Cultural Property
笠原工業(株)構内に重文 常田館製糸場に関連する施設15棟が現存しており、そのうち7棟が平成24年に国の重要文化財に指定されています。
他施設は所蔵品とともに経済産業省認定近代化産業遺産・上田市指定文化財に指定されています。
1五階繭倉庫
- 建築時期
- 明治38年(1905年)
- 構造
- 木造土蔵造瓦葺 5階建 倉庫
- 大きさ
- 各階間口24間 奥行5間 120坪の総5階
床面積 延600坪(約1,983平方メートル)
当初、諏訪式製糸の特徴の一つである多窓式繭乾燥・保管のための生繭倉庫として建築された。21cm角の通し柱が5.4mおきに設けられている他約18cm毎に繭を乾燥・保管する蚕籠を乗せる蚕架の桟を挿し入れる直径3cm程の穴が開けられ向かい合っていた。
土蔵造の外壁は白漆喰塗大壁、軒は蒲鉾型塗込、内側は厚さ3cmの板を落しにしてはめ込み外から壁土を塗りつけてある。
当初の窓は幅0.9m、高さ1.5mと大きく、ほぼ1.8m毎に開けられ、通風を確保していたが、製糸方法の変化、向上にともない繭の保管・乾燥の目的から生糸の品質向上を目的とした干繭倉に改造され現在では多くの窓の全部又は半分を塗り固め採光のみを目的とした小窓になっている。
平成24年8月末現在、国内唯一の木造5階建繭倉である。
2三階繭倉庫
- 建築時期
- 明治36年(1903年)
- 構造
- 木造土蔵造瓦葺 3階建 倉庫
- 大きさ
- 各階間口13間 奥行4間 52坪の総3階
床面積 延155坪(約513平方メートル)
当初、諏訪式製糸の特徴の一つである多窓式繭乾燥・保管のための生繭倉庫として建築された。
通し柱約21cm角が入口右側3.6m、左側5.4mおきに設けられ、外回りは約12cm角の管柱となっている。
隣の木造5階建と異なり管柱は無く、脚付乾燥台を使用していたと思われる。
壁は板倉工法が応用され、厚さ約3cmの板を落しにしてはめ、外から壁土を塗り漆喰で上塗りしてある。
当初の窓は幅0.9m、高さ1.5mと大きく、ほぼ1.8m毎に開けられ、通風を確保していたが、製糸方法の変化、向上にともない繭の保管・乾燥の目的から生糸の品質向上を目的とした干繭倉に改造され現在では多くの窓の全部又は半分を塗り固め採光のみを目的とした小窓になっている。
3五階鉄筋繭倉庫
- 建築時期
- 大正15年(1926年)8月竣工(大正14年11月着工)
- 構造
- 鉄筋コンクリート造陸屋根 5階建 倉庫
(現状、陸屋根の上に長尺鉄板を架けてある) - 大きさ
- 各階間口8間 奥行5間 40坪の総5階
床面積 延200坪(約660平方メートル)
平成24年8月末現在長野県内に現存する最古の鉄筋コンクリート造5階建て建築物である。
大正14年10月間口5間奥行20間、100坪総4階の3階から出火全焼のため、鉄筋コンクリートにて建替えたもので、当時の技術を集結した堅固な建物である。
木造5階建繭倉と異なり、干繭倉として建てられたもので、入口は両開きの鉄扉が東と二階東角に設けられている。
階高も、約240cm~345cmと木造繭倉より高くなっている。
窓は、1階は東側3ヶ所・西側4ヶ所、2階東西各4ヶ所、3~5階は東西各1ヶ所に内側スチールサッシのガラス窓、外側鉄扉が設けられている。
4選繭場(せんけんじょう)
- 建築時期
- 大正15年(1926年)頃
- 構造
- 土蔵造鉄板葺2階建 倉庫
- 大きさ
- 各階間口7間半 奥行5間 37.5坪の総2階
床面積 延75坪(約247平方メートル)
選繭場として、焼失した4階建て繭倉の跡地に隣接する五階鉄筋繭倉庫の建物に続けて建築された。
他の木造繭倉に比べて階高が1階約270cmと高いが、2階は190cmと低く造られている。
当初1、2階を一つの建物として使用されていたが、現状は1、2階別々の建物として製品倉庫として使用している。2階入口は、3階繭倉前廊下の続きからになっている。
建物西側1階部分は下見板張りとなっている。
窓は1、2階とも半分ほどが塗り固め採光も少ない。
5常田館/事務所兼館主住宅
- 開館
- 平成元年8月(1989年)
- 建築時期
- 明治41年(1908年)春竣工
- 構造
- 木造瓦葺2階建 居宅
- 大きさ
- 床面積
1階 50坪(163.78平方メートル)
2階 41坪(136.63平方メートル)
「常田館」の名称は、笠原組製糸が上田工場を建設した地が常田地籍であり、その地名をとり称号としたものである。
洋館風事務所として建築され、当初1階は館主宅として、2階広間と客間4部屋は結婚式や従業員の打ち合わせ・慰労会等多目的に使用された。
現在は昭和天皇皇后両陛下行幸啓の際の玉座を初めとして、養蚕・製糸等に関する資料・器械・美術品を展示している。
- 外観
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- 1階
- 和風建築 押し縁簓子下見板張り
- 2階
- 洋風建築 南京下見板張り、建具回りの枠が額縁状
和風建築 西側客間雪見障子
- 内装
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- 1階
- 玄関 3間通しの欅框
2階床・床梁を表に出し空間を活用 - 2階
- 長押・天井板の組み合わせによる変化
27畳間 柱・長押板目模様、天井柾目
14畳間 柱・長押柾目、天井板目模様
その他、建具や欄間等各所に使い勝手や見栄えを考えた造りが施してある。
6文庫蔵
- 建築時期
- 明治41年(1908年)
- 構造
- 木造土蔵造瓦葺 2階建 土蔵(本格的土蔵造り)
- 大きさ
- 各階間口3間 奥行2.5間 7.5坪の総2階
床面積 延15坪(約49.58平方メートル)
常田館と一体の本格的土蔵造建物で、材料を吟味し時間をかけて造作されている。
入口は、外側漆喰塗裏白引戸、内側に欅造の板引戸が設けられている。
7四階繭倉庫
- 建築時期
- 明治45年(1912年)(平成20年 曳家)
- 構造
- 木造土蔵造瓦葺 4階建 倉庫
- 大きさ
- 各階間口6間 奥行12間 72坪の総4階
床面積 延288坪(約934平方メートル)
開口部は各階南北に両開き鉄扉と内側ガラスの引戸が1箇所ずつあるのみで、東西には窓が一つも無く当初から干繭倉として建てられたと思われる(平成20年道路拡張に伴い約6m曳家した際、現状の建築基準法の適用により、東側2箇所に開口部としてドアを設置、基礎は割石と沓石から布基礎に改築した)。
通し柱は無く、各階毎に約12cmの管柱が1.8mおきに多数配置され、繭の保管や作業を考慮した造りになっている。
壁は板倉工法の応用で厚さ約3cmの板に竹の釘を打ち込み、外から壁土を塗りつけ漆喰で上塗りしてある。
壁に雨が直接かからないようにするため、各階部分に下屋をつけてある。